ファストスキャン

このドキュメントでは、オンライン分析処理 (OLAP) シナリオで FastScan を使用してクエリを高速化する方法について説明します。

デフォルトでは、TiFlash はクエリ結果の精度とデータの一貫性を保証します。 FastScan 機能を使用すると、TiFlash はより効率的なクエリ パフォーマンスを提供しますが、クエリ結果の精度とデータの一貫性を保証するものではありません。

一部の OLAP シナリオでは、クエリ結果の精度に対してある程度の許容範囲が許容されます。このような場合、より高いクエリ パフォーマンスが必要な場合は、FastScan 機能をセッション レベルまたはグローバル レベルで有効にすることができます。変数tiflash_fastscanを構成することにより、FastScan 機能を有効にするかどうかを選択できます。

FastScan の有効化と無効化

デフォルトでは、変数はセッション レベルおよびグローバル レベルでtiflash_fastscan=OFFです。つまり、FastScan 機能は有効になっていません。次のステートメントを使用して、変数情報を表示できます。

show variables like 'tiflash_fastscan'; +------------------+-------+ | Variable_name | Value | +------------------+-------+ | tiflash_fastscan | OFF | +------------------+-------+
show global variables like 'tiflash_fastscan'; +------------------+-------+ | Variable_name | Value | +------------------+-------+ | tiflash_fastscan | OFF | +------------------+-------+

変数tiflash_fastscanは、セッション レベルおよびグローバル レベルで設定できます。現在のセッションで FastScan を有効にする必要がある場合は、次のステートメントを使用して有効にできます。

set session tiflash_fastscan=ON;

グローバル レベルでtiflash_fastscanを設定することもできます。新しい設定は新しいセッションで有効になりますが、現在および以前のセッションでは有効になりません。また、新しいセッションでは、セッション レベルとグローバル レベルのtiflash_fastscanが両方とも新しい値になります。

set global tiflash_fastscan=ON;

次のステートメントを使用して、FastScan を無効にすることができます。

set session tiflash_fastscan=OFF; set global tiflash_fastscan=OFF;

FastScanの仕組み

TiFlash のストレージレイヤーのデータは、Deltaレイヤーと Stableレイヤーの 2 つの層に格納されます。

デフォルトでは、FastScan は有効になっておらず、TableScan オペレーターは次の手順でデータを処理します。

  1. データの読み取り: Deltaレイヤーと Stableレイヤーに個別のデータ ストリームを作成して、それぞれのデータを読み取ります。
  2. Sort Merge: 手順 1 で作成したデータ ストリームをマージします。次に、(ハンドル、バージョン) 順に並べ替えた後にデータを返します。
  3. 範囲フィルター: データ範囲に従って、手順 2 で生成されたデータをフィルター処理し、データを返します。
  4. MVCC +カラムフィルター: 手順 3 で生成されたデータを MVCC でフィルター処理し、不要な列をフィルターで除外してから、データを返します。

FastScan は、データの一貫性をいくらか犠牲にすることで、クエリ速度を向上させます。 FastScan では、通常のスキャン プロセスのステップ 2 とステップ 4 の MVCC 部分が省略されるため、クエリのパフォーマンスが向上します。